光合成細菌を増やしてみよう

 光合成細菌を増やしてみましょう。 光合成細菌は様々な物質を餌として増やすことができます。ここでは培養のための餌「ふやしてPSB」と種菌「できたてPSB」を用います。

取りあえず種菌を倍に増やす

左 種菌(できたてPSB)と右 培養餌料(ふやしてPSB)


 安心してチャレンジできるように、まずは手始めに種菌を倍に増やしておきましょう。培養する光合成細菌は生きていれば市販されている他社のものでも構いません。ここでは弊社の「できたてPSB」を使ってみます。「できたてPSB」と同じ500mlの空のペットボトルを用意してください。 空きボトルに「できたてPSB」を半分移します。250mlずつ入った容器が2本できました。
これに「ふやしてPSB」のプッシュポンプのノズルを入れ、5回ずつプッシュして下さい。1プッシュ1mlですから、それぞれに5mlずつの餌が入ったことになります。すぐに使い切ってしまうのであれば、餌の量はもっと少なくても大丈夫です。さらに容器に水道水を入れます。水道水を中和する必要はありません。容器の上部に少し空気を残しておくと後々攪拌がしやすいでしょう。ボトルにふたをして日当たりの良い場所に置いて下さい。真夏には水温が上がりすぎますから、逆に日影においた方が良いでしょう。時々ボトルを逆さにして沈殿物を溶かして下さい。また容器がへこんでいたらキャップをゆるめて空気を吸い込ませて下さい。 5月以降の暖かい季節であれば、概ね1週間前後で溶液の赤色が元の種菌のように濃くなりますので、これをもちまして培養が完了したと判断します。
 あとは同様の方法で倍々に増やして行けば良いのです。上記の添加量では餌がかなり濃い状態となっていますので、そのままで半年程は保存できますが、容器内の光合成細菌が餌を食べ尽くしますと少しずつ細菌密度が下がり溶液の色が薄くなってきます。最終的には透明になったり、緑色になることもあります。緑色になるのは緑色の光合成細菌が増えたのではなく、偶然に容器の中に飛び込んだクロレラなどの植物プランクトンが急激に繁殖したからです。光合成細菌が死滅してその体が分解され、植物の肥料として使われたのです。

培養液の赤い色が薄くなってくるのは餌不足などで光合成細菌の生息密度が減ってくるためで、温暖な時期では餌を数プッシュ追加して日の光を当てておけば元の色(細菌密度)に戻ります。

このように光合成細菌は顕微鏡がなくとも、その色合いの濃淡で細菌密度を知ることができるという大変ありがたい特性を持っていますので、私たち細菌培養の素人にも簡単に増やすことができるのです。

 

 さて種菌をどれくらい入れれば培養できるのでしょうか?

貧乏性ですので種菌としての必要最低限の量はどれくらいなのか調べてみたくなりました。
同一容量ののペットボトルにそれぞれ容量の10%、20%、30%、40%の種菌を入れてみます。ボトルは2リットルのコーラの空き容器ですからそれぞれ200ml、400ml、600ml、800mlを入れたことになります。

ふやしてPSBをそれぞれ10プッシュ(10ml)(本来の規定投入量の半分)ずつ加え水道水で希釈し、逆光でみるとご覧のような濃度差を感じることができます。

5月10日に比較試験を開始し、10日経過した時点の外観です。外観では濃度差を感じることができない程全ての試験区の濃度が高まっているように見受けられます。ここまでの比較では10%の種菌量でも十分に培養可能と考えられます。

逆光で見ると濃度が分かる

逆光で見ると濃度が分かる

10日後 見てくれでは濃度差が分からない

 

 

 

 

 

 

 

 

もっと薄くしてみましょう

今度は1.5リットルのボトルに3%、5%、10%の種菌を入れて5月20日にスタートしました。さすがに3%を希釈すると、ただの薄茶色の溶液で、とても光合成細菌が入っているようには見えません。

スタート時

1週間後

 

 

 

 

 

 

 

 

1週間が経過しました。

10%区は前回の試験結果と同様にかなり濃密な菌密度を感じる赤褐色を呈しています。5%区も明らかに赤味が増し、光合成細菌の増殖をうかがわせる経過を示しています。ところが3%区はほとんど色の変化が感じられず、もしかしたら他の雑菌が優勢となって光合成細菌が死んでしまったのではないかと不安になりました。

念のためもう1週間待ってみることにしました。するとどうでしょう、3%区にもあの赤色が出てきたのです。開始時の10%区に匹敵する色合いです。これはすなわち10%区の2週間遅れの培養状況と考えることができるわけです。大まかな計算では2週間の培養で菌の密度が3倍になったと考えられます。

2週間後

 結論です。光合成細菌の培養には適正な餌、そして水温と太陽光が必要です。日本国内においては5月から10月いっぱい位の期間であるならば屋外の常温下でエネルギーコスト無しで大量培養することができます。
 今回の比較試験で明らかになったことは、種菌の量が多ければごく短期間で高密度の培養が可能であること。そこに求められるのは適正な培養餌料だけであるということです。一方、培養量のわずか3%程度の微量でも種菌があれば、時間はかかるもののやがてかなりの高密度に増えるということも確認できました。
 3%区の発色に時間が掛かったのは、試験開始時の培養液の中には光合成細菌以外の雑菌(好気性の従属栄養細菌)が存在し、光合成細菌のための餌(ふやしてPSB)を添加したことにより、同じ餌で増えることができる彼らのような目的外の雑菌の増殖スピードが光合成細菌を凌駕したためだと想像します。ただ彼等の多くは酸素の必要な好気性細菌であるため、やがて培養容器内の溶存酸素が消費され尽くされると嫌気性の菌群(酸素が不要な、あるいは嫌いな細菌群)が優勢になったのではないかと思われます。我等が光合成細菌も立派な嫌気性細菌です。培養容器に用いたコーラの空き容器は材質がかなり柔軟ですので、培養が進むに従って容器の外壁が「へこむ」現象が起こります。これは容器内の溶存酸素が消費されてその気体の堆積が減ったためです。ちなみに飲み終わったコーラの空きボトルに半分程水を入れて強く攪拌すると容器はへこみます。これは容器内に残っていた炭酸ガスが水に溶け、その分だけ気体の体積が減ったためです。

 滅菌処理のできる培養設備を持たない素人の我々が光合成細菌だけを純粋培養することはほとんど不可能です。であるならばあえて純粋培養に拘ることなく他の雑菌も合わせて培養してしまいましょう。光合成細菌の悪臭は雑菌がもたらすものが大部分なのですが、それらも含めて光合成細菌ご一統様として扱う方が気楽に培養ができます。光合成細菌は臭いものなのだとの割り切りができれば何ということはありません。農業分野などに用いられる光合成細菌はそれが常識化していますが、悪臭による弊害は聞こえてきません。

 培養容器を定期的に攪拌するには容器の上部に若干の空気が残っていた方が良く混ざります。雑菌の多くは好気性の細菌ですので、容器内の酸素が使われてしまうとその分だけ容器がへこみます。定期的にキャップをゆるめて空気を補ってやるとへこみは元に戻ります。そうすると酸素不足で死んでしまうはずの好気性の雑菌も長生きをします。良きにつけ悪しきにつけ、光合成細菌と一緒に増えたそれらの雑菌ももしかしたら水質改善に役立ってくれるかも知れません。

 増やしすぎて使い切れない光合成細菌は猫ちゃんやワンちゃんの飲み水に若干量垂らしたり、草花や家庭菜園に500倍程度に薄めて撒いてください。きっと予想外の効果を示すはずです。

何はともあれ、まずは増やしてみましょう!!