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ふやしてPSBの濃度と培養した光合成細菌の保存期間との関係を教えてください。

1 光合成細菌の保存期間について

 まず参考書籍をご紹介いたします。
 小林達治著 「光合成細菌で環境保全」
 社団法人農山漁村文化協会(通称 農文協)
 amazonで1903円
 この本の中に 微生物による浄化と資源化のしくみという項目があり、そこに
 図44 高濃度有機排水の浄化過程中における微生物群の変動
 という図が掲載されています。参考までにご紹介します。

この図の意味するところは、一定の環境の中で様々な微生物群が増えたり減ったりするのは、彼等の増殖のために必要な餌や肥料の過不足によることを表していると理解しています。
 つまり、皆さんが培養した光合成細菌の赤い培養液の中には、濃密な光合成細菌の他に様々な光合成細菌以外の菌群、微細な藻類の種、そして彼等に共通して用いられる餌となる物質が存在し、彼等が使える状態の物質の消長によってそれに依存している生物の種類も絶対量も変化をするということです。まあ簡単に言えば、どんな生き物も「食い扶持」が無くなれば生きてはいけないということを意味しています。
 従って、培養液の中に存在する光合成細菌も餌がなくなれば数が減り、赤かった溶液の色もやがて薄くなってしまうのです。長期間放置して赤味が薄くなってしまった溶液に若干の「ふやしてPSB」を加えて容器ごとよく振って沈殿物を溶かし込ませますと、多くの場合見事に赤い色が濃くなります。それは餌不足で餓死寸前であった光合成細菌の生き残りが再び数を増やしたからです。
 ですから、作られた溶液の保存期間を問題視されるのであれば、お使いになる直前(1、2週間前くらい)に若干の餌を追加して光を与えてください。そうすればかなりの菌量を回復させることができると思います。その場合、光は太陽光でも水槽の蛍光灯でも構いません。いつでも菌体量を増やすことができる手段を持っていれば保存期間をあまり気にする必要はないと考えます。ふやしてPSBはそのような使い方もできるのです。

2 培地の濃度によって菌の濃度が変わるのか

 前述の通り、培養液の中にはしばらくの間光合成細菌が生きながらえる量の基質が残っていると考えるべきでしょう。
すなわち培地(ふやしてPSB)の量が規定量の1/3でも1/4でも、光合成細菌がワーッと増えている期間中であれば、彼等の上限の生息密度(多分何か生息数をコントロールする要因はあると思います)に達するまでは増え続けるものだと解釈しています。
 逆にまだ増殖中の培養液の中には光合成細菌以外の菌群(水槽内で悪さをする可能性のあるものも含めて)が雌伏している、あるいは光合成細菌を上回る勢いで増えている可能性も否定できません。
残念ながら1種類の光合成細菌だけを純粋培養するにはそれなりの設備投資が必要となりますので、私たち素人にはまず不可能と思ってください。おそらく市販されいる光合成細菌にあっても、様々な雑菌も含めた多種類の光合成細菌の混合液であることが多いと思います。

 日本動物医薬品が販売している「たね水」という商品は緑色をした光合成細菌です。種菌は浜名湖の塩水中から採集したものだと聞いたことがあります。
この「たね水」を買ってきて培養したことがあります。
結果は真っ赤な培養液になってしまいました。
「たね水」の中には大部分の緑色の光合成細菌に混じって若干の赤色の光合成細菌も入っていたのです。私の培養方法では「緑」が「赤」に負けてしまったのだと思います。
 おそらく「たね水」は特殊な培養条件により「緑」が「赤」を圧倒した結果もたらされたものなのでしょう。この培養条件のノウハウを確立したからこそ日本動物医薬品は「たね水」の販売にこぎつけることができたのだと思っています。当然のことですが、小売価格は極めて高価です。
 ことほど左様に光合成細菌の単独種のみの培養は大変難しいものですが、それにこだわる必要は毛頭ないと考えています。赤でも緑でも要は効き目があれば良いのです。

ところが私たちが光合成細菌を水槽環境の改善や飼育生物の生残率の向上に役立てたいと思う時、光合成細菌の市場価格や菌体密度に大きな不満や不安を感じることがあります。自らの手で有用な細菌群を培養し、活用することは小さな微生物の世界を理解することから始めなければなりませんが、それはやがて水槽管理の基本的なメカニズムを知ることにもつながり、有形無形の財産として皆さんのアクアリウムライフにも影響をもたらすのではないかと考えることがあります。

 

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