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あなたのウ○コに値が付く時代が来る!?(腸内細菌の話その1)

ウシやヒツジは草を消化できない?シロアリにもできない。

 

 偶蹄目(ひづめが複数に分かれているほ乳類、実はクジラも含まれる)と呼ばれるウシやヒツジなどの

草食動物はその名の通り「草を食べて」生きているのですが、実は彼等自身の消化機能だけでは植物を分解して栄養素を取り出すことができません。彼等の消化器の中には植物の繊維を分解してくれる細菌が大量に棲み着いており、発酵作用によりセルロースなどを分解してエネルギーを得ています。細菌が棲み着いているのは人間のように腸ではなく、第一胃と呼ばれる臓器(ホルモンでいうところのミノ)ですので、”腸内細菌”と呼ぶことに若干の異論もあるようですが、その由来は餌となる植物と一緒に取り込まれたものであることは明らかですから、さほど神経質に考える必要はない思います。

 

 私たち人間はグルコース(ブドウ糖)を主なエネルギー源として使っていますが、ウシやヒツジなどの反芻(一度食べたものを吐き戻し、噛み返すこと)動物は、ブドウ糖よりももっと小さな分子構造をしている短鎖脂肪酸と呼ばれる物質をエネルギー源としており、その代表的なものは酢酸、酪酸、プロピオン酸などです。

 

 実は私たち人間もセルロースを分解することはできず、ウシやヒツジと同様に、腸内細菌の力を借りて短鎖脂肪酸を作っています。人間にとって短鎖脂肪酸はエネルギー源の大部分ではないため、命に関わるほどの重要なものではありませんが、短鎖脂肪酸には大腸の炎症やアレルギー反応を抑えたり、肥満や糖尿病を改善するといった重要な働きがあります。その他にも腸の蠕動運動や大腸表面の細胞が水分や無機物を取り込むことを促したりします。食事に食物繊維が不足すると便秘になりやすいのは、結局のところ繊維の発酵分解から作り出される短鎖脂肪酸不足と因果関係があるようです。ちなみに私たちの大事な住居を食い荒らすシロアリですら木材からかじり取ったセルロースという植物繊維を分解することはできません。そうです、彼等の腸内にもセルロースを分解してくれる細菌群が棲んでいるのです。

 

 

 短鎖脂肪酸の役割

 

 腸内に短鎖脂肪酸が供給されると、腸内のpHが弱酸性に維持されることになります。今のところ悪役に見られている、いわゆる悪玉菌と呼ばれる腸内細菌のグループが出す酵素は、酸性側の環境では活性が抑えられるため、発がん物質や腐敗産物ができにくくなり、腸内環境が健康に保たれることになります。また私たちが食物として取り込んだカルシウムやマグネシウムなどのミネラルは、酸性の環境下では容易に水に溶けやすくなりますので、短鎖脂肪酸の存在はそれらの成分の吸収を助け、ミネラル不足を補うことができるのです。

 私たちを病気から守ってくれる免疫反応もたまにミスをするようで、誤って自分の体を傷つけてしまうことがあるのだそうですが、短鎖脂肪酸にはそのような誤った反応を抑える細胞を増やして、体が傷つくのを防ぐ働きもあります。

 

 短鎖脂肪酸である酪酸は乳製品から、酢酸はお酢からも摂取できますが、口から入った食物の栄養の大部分は、すぐに分解されて小腸で吸収されてしまうため、それを待ち構える細菌群が棲む大腸にまでは届きません。結局大腸で必要とされる酪酸や酢酸は大腸内で作らなければならないのです。そのためにはその材料となる消化されにくい食物繊維などを摂取して、大腸まで送り届ける必要があります。短鎖脂肪酸は腸内に食物繊維がある限り、細菌の働きで少しずつ分解されて放出されるため効果が長続きします。大腸の病気や便秘で苦しんでいる方は、何にも増して野菜や海藻類など食物繊維を含む食材を日々積極的に食べることです。

 

   ヒトの大腸内発酵の基質(原料)                          食物繊維の発酵で生じる短鎖脂肪酸の割合

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