フコイダンで白点病が治るのですか？

　残念ながらフコイダンを投入しても白点病は治りません。

 

  白点病は白点虫という原虫の寄生によって引き起こされる恐ろしい病気です。
従って白点虫を弱らせたり殺したりする毒性がなければ、白点病を治す効果があるとは言えません。

 

　市販の白点病の薬剤はそれらの殺虫力を持っていると思われます。
ただ　毒をもって毒を制す　対症療法ですから、薬剤の持っている毒性は治療対象魚ばかりでなく、他の健全な魚体や水槽全体の微生物環境にもダメージを与えてしまう可能性もあります。

 

　治療薬は白点虫を殺す毒物ですから、そのダメージが未感染の魚体の体表粘液を弱らせる可能性もあります。

そうなると白点虫はかえって魚体に取り付きやすくなり、結果として症状の出ていなかった魚に白点が出ることも否定できません。

 

　私は白点病の発症の原因を体表粘液の劣化と考えていますので、魚体にストレスを与える治療方法は場合によっては逆効果になる可能性を否定しません。
薬を入れても全く効果がなく、かえって他の魚への感染が広がってしまうことは白点病には良くあることです。

 

　フコイダンは様々なウイルスを絡め取って動けなくする（不活化と呼びます）ことで、ウイルス起源の病気の発生や蔓延を防ぐ効果があると言われています。
実証したわけではありませんが、フコイダンの投入はウイルスよりも少し大きい病原菌までなら何とかコントロールできるのではないかと期待しています。

 

　それらのウイルスや病原菌が原因で魚体に最初の軽微なダメージが与えられると、まず魚体に現れる症状はそれまで完璧であったはずの体表粘液にほころびが生じるパターンです。
粘液による体表バリアーが劣化すると、その隙をついて白点虫が体表の奥深くまで侵入しやすくなります。これが白点病のスタートです。
ですからウイルスや病原菌などによるちょっとした症状を防ぎ、白点虫のとりつく隙を与えないという意味で予防効果はあると思います。
残念ながらフコイダンには毒性はありませんので、すでに魚体に寄生している白点虫を落としたり、殺したりする力はないと考えています。
また水槽内を浮遊している予備軍である白点虫の仔虫（遊走子と呼びます）を弱らせる力もありません。
だから白点病を治す効果はないのです。

 

　ただ、白点虫は栄養分を吸収した後に魚体から離れますが、その際、魚体には寄生の痕跡や、かゆがって体表をこすりつけて被った擦り傷などが残ることになります。
そこには他のウイルスや病原菌が取り付いて、さらなる別の感染症状を起こすことが予想されますが、フコイダンの持つ免疫賦活（免疫を高める）効果によってそれらを防ぐ力が高められます。

 

　大変残念なことに水槽内に白点病が発生してしまった場合、それを根治するにはベテラン諸氏も大変な苦労をされています。
極論すれば、いったん発症した白点病は簡単には治せないと考えておく覚悟が必要であるということです。

 

　白点病によって水槽内の魚類を全滅させてしまった悔しい経験をお持ちの方は少なくありません。
海水魚は白点が出るから二度と飼わない　とあきらめてしまった方がいかに多いことか。

 

　白点病の根本的な対策は　出さない　こと、つまり　予防　に最大限の注意を払うことに尽きます。
その意味ではフコイダンはかなりの実績を示していますので、安心してお使いいただける優れた添加剤だと思います。